子どもに「どう声をかければ、もっと考えるようになるんだろう?」
そう感じる場面は、家庭でも学習の時間でもよくあります。
海外の教育現場では、子どもの思考力・言語力・主体性を育てる方法として
オープンクエスチョン(Open-ended Questions) が広く使われています。
オープンクエスチョンとは、
正解がひとつに決まらず、子どもが自分の言葉で考えて答えられる問いかけ のこと。
家庭でもすぐに取り入れられる“思考のスイッチ”のような存在です。
この記事では、海外教育の知見をもとに
- オープンクエスチョンとは何か
- なぜ子どもの学びに効果があるのか
- 家庭で使える質問例
- 声かけのコツ
を分かりやすく紹介します。
オープンクエスチョンとは?
オープンクエスチョンは、「あなたはどう思う?」を大切にする問いかけ です。
たとえば:
- What do you notice?(何に気づいた?)
- Why do you think so?(どうしてそう思ったの?)
- What else could it be?(他にどんな可能性がある?)
Yes/No で答えるだけの質問とは違い、
子どもは自分の考えや理由を言葉にする必要があります。
そのプロセスこそが、
思考力・言語力・主体性を育てる学び につながります。
海外教育で重視される理由
海外の教育機関や研究の中では、オープンクエスチョンは
子どもの学びを深めるための基本的な指導法 として扱われています。
幼児教育を扱う NAEYC では、
オープンクエスチョンは子どもの 言語発達と考える力を支える重要な関わり方 と紹介されています。
答えをすぐに与えず、子どもが「言葉を探す時間」を持つことで、表現力や語彙が増えるためです。
アメリカで広く使われている教育プログラム Responsive Classroom でも、
オープンクエスチョンは 子どもの好奇心や主体性を引き出す質問方法 とされています。
「正解がひとつでない問い」は、子どもが “もっと考えてみたい” という姿勢を育てると述べられています。
また、大学の教育研究では、
オープンクエスチョンは 高次思考(Higher-order thinking)を促す指導法 として位置づけられています。
特に “どうしてそう思う?” と理由を尋ねる問いは、子どもの思考を深める重要な要素とされています。
このように、海外教育の中では
思考力 × 言語力 × 好奇心 × 自信 をバランスよく伸ばせる方法として
オープンクエスチョンが長い間重視されてきました。
私がオープンクエスチョンを取り入れて気づいたこと
私自身、教員として働いていた頃は、つい
「これは〇〇ですか?」「〜できましたか?」
という クローズドクエスチョン を多く使っていました。
教師にとっては扱いやすく、授業の流れも作りやすいからです。
でも続けていくうちに、
子どもたちが自分の考えや思いをあまり言語化していない ことに気づきました。
答えがある質問ばかりでは、子ども自身が “考える時間” が生まれにくかったのです。
そこで意識して取り入れ始めたのが、
「どうしてそう思ったの?」「〇〇さんの意見についてどう感じた?」
といった、オープンクエスチョンでした。
最初は慣れないために、
返ってくる答えが短かったり、沈黙になることもありました。
それでも続けていくと、子どもたちは少しずつ
自分の考えを言葉にすることに慣れていき、
自分の言葉で説明する姿が増えて いきました。
自分で説明できるようになると、
「自分の考えを持つこと」が楽しくなり、
主体性が生まれ、学習への意欲にも大きく関係する と感じました。
今日から使える!家庭でのオープンクエスチョン例
家庭で取り入れやすい質問をシーン別にまとめました。
🔍 観察や気づきを引き出す問い
- 何に気づいた?
- どこが気になった?
- そう思ったのはどうして?
- 面白いと思ったのはどんなところ?
🔄 推測を促す問い
- 次はどうなると思う?
- 他にどんな可能性があるかな?
- もし〇〇だったらどうなると思う?
- そう考えた理由はなに?
🎨 絵本・作品・写真を見ながらの問い
- この場面で、登場人物はどんな気持ちかな?
- どの部分が一番好き?
- これは何が起きている場面に見える?
- この絵からどんなことがわかる?
家庭でうまく使う3つのコツ
✔ ① 正解を求めすぎない
目的は「考えを言わせること」ではなく、
“考える経験をつくること”。
✔ ② 子どもの答えを広げてあげる
子ども:「This one!」
親:「You chose this one! What makes it special for you?」
✔ ③ 英語でも日本語でもOK
大切なのは “考えを言葉にする時間”。
おうち英語にも自然に取り入れられます。
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まとめ
オープンクエスチョンは、海外教育で長く大切にされてきた
“問いから始まる学び” のアプローチです。
問いかけを少し変えるだけで、
子どもの思考が動き、会話が深まり、学びの広がりが生まれます。
今日の会話から、ひとつだけ
「あなたはどう思う?」 と聞いてみませんか?
参考にした海外記事
- NAEYC|幼児の言語発達を支える質問の使い方
https://www.naeyc.org/resources/pubs/tyc/spring2024/message-in-a-backpack - Responsive Classroom|子どもの好奇心と主体性を引き出す質問
https://www.responsiveclassroom.org/open-ended-questions/ - Cornell University|教育場面での効果的な質問
https://teaching.cornell.edu/teaching-resources/engaging-students/using-effective-questions-engage-students

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