「英語を話す場面を用意しても、なかなか声が出ない」
「質問しても、短い答えで終わってしまう」
特に中学生以降になると、こうした悩みを感じることが増えてきます。
海外の英語教育では、このような課題に対して
インフォメーションギャップ(Information Gap Activity)
という学習方法がよく取り入れられています。
これは、
“話さないと情報がそろわず、タスクが完成しない状況”を意図的につくる活動 です。
インフォメーションギャップとは?
インフォメーションギャップとは、
学習者同士が持っている情報が異なる状態(gap)をつくり、
質問や説明を通してその差を埋めていく活動 のことです。
たとえば、
- A:完成した絵や情報を持っている
- B:一部が空白のシートを持っている
- 会話を通して、同じ情報になるように完成させる
このように、
「話すこと」そのものが目的ではなく、
“情報をそろえるために話す必要がある”構造 が特徴です。
海外教育ではどう説明されている?(British Councilの視点)
イギリスの公的な英語教育機関である British Council(TeachingEnglish) では、
インフォメーションギャップ活動を次のように説明しています。
学習者の間に「情報の差(gap)」があることで、
その差を埋めるために自然なやり取りが生まれる活動。
British Council では、インフォメーションギャップ活動の特徴として、
- 学習者が話す理由を持てること
- 実際のコミュニケーションに近い形になること
- 確認・言い換え・聞き返しなどのやり取りが自然に起こること
を挙げています。
つまり、
「話しなさい」と言わなくても、話す必要が生まれる
という点が、この活動の大きな価値だと説明されています。
なぜ「話したくなる」のか?
British Council の記事では、
スピーキングが増えない理由として
「話す“目的”がないこと」がよく指摘されています。
インフォメーションギャップ活動では、
- 相手が知らない情報を持っている
- 自分が説明しないと相手が完成できない
- 相手の話を聞かないと自分も進めない
という状況が自然に生まれます。
その結果、
- 発話量が増える
- 会話が一問一答で終わらない
- 相手の話を聞く姿勢も育つ
といった効果につながるとされています。
私自身、英語指導の中でインフォメーションギャップ活動を取り入れたとき、
生徒の英語に対するモチベーションが大きく変わった と感じました。
それまでは、
「正しい英語を言わなければいけない」
「間違えたらどうしよう」
という気持ちが先に立ち、発話に消極的な生徒も少なくありませんでした。
しかし、インフォメーションギャップ活動では、
相手から情報を得る・相手に情報を伝えるという“目的”がはっきりしています。
その目的があることで、生徒たちは
「伝えないと進まない」「聞かないと完成しない」状況の中で、
英語を使おうと積極的に話し始めました。
完璧な表現ではなくても、
身ぶりや言い換えを使いながら、
「どうにか伝えよう」とする姿が多く見られるようになったのです。
また、ゲーム感覚で楽しめるアクティビティであるため、
生徒自身が「英語を使っている感覚」を前向きに捉えやすく、
教える側としてもよく取り入れている活動のひとつ です。
「英語を話させる」のではなく、
「話したくなる状況をつくる」。
インフォメーションギャップ活動は、その力を強く感じられる実践だと思います。
中学生以降に特に効果的な理由
中学生以降の学習者は、
- 正解を当てるだけの活動に飽きている
- 「やらされ感」に敏感
- 自分の考えを持ち始めている
という発達段階にあります。
インフォメーションギャップ活動は、
- 正解がひとつではない
- 自分の判断や説明が必要
- 相手との関係の中で進む
という点で、
思考と好奇心を同時に刺激 します。
British Council が示す
「話す理由があると、学習者は自然に話し始める」
という考え方は、まさにこの年代にぴったり当てはまります。
家庭・教室でできる具体例
▶ 絵を使ったインフォメーションギャップ
- A:完成した部屋の絵を持つ
- B:空白の部屋とパーツを持つ
B は質問しながら、同じ配置になるように完成させます。
問いかけ例(日本語でOK)
- どこにあるの?
- その近くには何がある?
- 前?後ろ?
英語レベルに応じて、
日本語 → 英語へと移行していくこともできます。
クリスマス版のインフォメーションギャップのアクティビティ記事(ワークシート付き)はこちら
👉《クリスマスアクティビティ記事はこちら》
オープンクエスチョンとの相性
インフォメーションギャップ活動は、
オープンクエスチョン と組み合わせることで、さらに深い学びになります。
- どうしてそこに置いたと思う?
- 他の置き方も考えられる?
British Council が重視する
「意味のあるやり取り」は、
こうした問いによってより豊かになります。
オープンクエスチョンに関する記事はこちら
👉《子どもの考える力を育てる「オープンクエスチョン」とは?》
家庭で取り入れるときのポイント
- 最初から英語だけにこだわらない
- 正確さより「伝わったか」を大切にする
- 話すことが目的ではなく、完成させることが目的 だと意識する
この視点は、British Council の
「目的のあるスピーキングが重要」という考え方とも一致しています。
まとめ
インフォメーションギャップ活動は、
- 話す理由をつくる
- 自然な会話を生み出す
- 中学生以降の好奇心を動かす
という点で、海外教育でも長く重視されてきた学習方法です。
「英語を話させる」のではなく、
「話したくなる状況をつくる」。
それが、British Council が示す
コミュニケーション中心の英語学習の考え方です。
参考にした海外教育サイト
- British Council|What is an information gap activity?
https://www.teachingenglish.org.uk/professional-development/teachers/knowing-subject/d-h/what-information-gap-activity - British Council|Find the gap: increasing speaking in class
https://www.teachingenglish.org.uk/professional-development/teachers/planning-lessons-and-courses/articles/find-gap-increasing - British Council|Increasing speaking in class
https://africa.teachingenglish.org.uk/skills/tips/increasing-speaking-class
🔗 関連記事(内部リンク用)
- オープンクエスチョンとは?考える力を育てる問いかけ
- Think-Pair-Share:子どもの考える力を伸ばす海外の学び
- クリスマスの Where is? アクティビティ(Information Gap)

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