子ども同士が話すと、何が変わる?
「この問い、どう思う?」
そう聞かれたとき、1人では言葉が出てこなくても、
誰かと少し話すことで、急に考えがまとまることがあります。
Think-Pair-Share(シンク・ペア・シェア)は、
1980年代初めにフランク・T・ライマン教授と教育者アーリーン・ミンダスによって開発された、
“対話から生まれる学び” を大切にする海外の学習法です。
子どもの「対話」が学びを動かす瞬間
Think-Pair-Share(TPS)が長年多くの教室で使われている理由は、
この方法がさまざまな学習効果をもたらすからだと考えられています。
たとえば、次のような変化が報告されています。
- 授業中の発言が増える
- 重要な概念の理解が深まる
- 情報の想起(思い出す力)が高まる
- 英語学習者(EFL)のコミュニケーション力が育つ
- 大人数の前だと発言をためらう子も、安心して意見を出せる
私自身、授業の中で
「1人では話しづらかった子が、友達と少し話すことで表情が和らぎ、
『あ、そういえば…』と気づきを言葉にし始める場面」
を何度も見てきました。
対話を通して自分の考えを整理し、
人の考えに触れながら視野が広がっていく——。
そんな静かな変化が起きていくのを感じます。
Think-Pair-Share はなぜ効果的なのか(Edutopia より)
Think-Pair-Share(TPS)は、次の3ステップで構成されています。
- Think(まず1人で考える)
- Pair(隣の子と短い対話をする)
- Share(全体で共有する)
Edutopia の記事では、TPSを使うことで次のような効果があると紹介されています。
- 子どもが自分の意見を持ちやすくなる
- ペアとの対話が安心感を生み、発言が増える
- 発言が苦手な子でも「話せる入り口」ができる
- 対話を通して思考が広がり、より深い学びが起こる
また記事内では、
“Silent Think-Pair-Share(無言で考えてから共有する)” や
“Think-Write-Pair-Share(書いてから話す)” など
16のバリエーションが紹介されており、
子どもの思考を深めるための「余白」をつくる工夫が豊富に提案されていました。
🔗 参考にした海外記事
Edutopia「16 Variations on Think-Pair-Share to Keep Students Engaged」
家庭でも学校でも取り入れやすい「3ステップ」
TPSは、特別な準備をしなくてもすぐに取り入れられる学習法です。
🌱 Step1:Think(考える)
まずは30秒〜1分、1人で静かに考える時間をつくる。
🌱 Step2:Pair(短い対話)
隣の友達、兄弟、家族と短く話す。
「どう思った?」「へえ、そうなんだね」など、
やさしい会話で十分です。
🌱 Step3:Share(全体で共有)
家族全体、教室全体でしっかり共有する。
ここで視野が一気に広がります。
家庭では、こんな場面が実践しやすいです。
- ニュースを見た後に「どう思った?」と一度1人で考えてもらう
- 食卓で「今日いちばん嬉しかったこと」をThink→Pair→Share
- 絵本や動画のあとに「どう感じた?」から始まる対話
大切なのは 正解よりも“考えたプロセス” です。
そのプロセスを言葉にする時間が、学びを深くしていきます。
おわりに ― 対話の中で育つもの
Think-Pair-Share は、とてもシンプルで、
誰にでも、どこでも取り入れられる学びの方法です。
1人で考え、誰かとつながり、
その中で自分の言葉が育っていく。
そんな小さな対話の積み重ねが、
子どもたちの“考える力”をそっと支えてくれるのだと思います。

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